3DCG導入編
いよいよこのTipsブログ本題の3DCG編です。
・3Dそのものには価値がない!?
3Dデータは残念ながらそのままでは商売につなげることは難しいです。3Dデータっていうのはどんなに一生懸命作ったところで簡単に複製出来てしまいますよね。残念なことに、複製できるものに金銭的な価値は生まれにくいのが現状です。
実は数百年前一点ものの絵画や写本から、複製可能な活版や版画等の印刷物や写真が誕生した時にも同じ問題が起こりました。そして、写真や版画は複製して販売する数を制限し価値を産み出すことに成功しました。数を制限する製法を製造ロット商法と僕は勝手に呼んでいます。
・3Dデータに価値付けする方法は?
パソコンでいくらでもデータのコピーができてしまうこの時代、
3Dデータに価値付けをしてCGでご飯を食べる為にはどうすればよいか…
これは僕なりの仮説となりますが、
その答えは
3DCGを現実の世界と何らかの形で結びつけることだと考えています。
そして、現実世界と3Dデータを結びつける方法は主に以下の3種類に分類することができると思います。
3DCGの3大分野について
①CG原型
3Dデータを3Dプリンターなどを用いて現実の世界にアピアー(出現)させます。
人は実態のあるものの方が分かりやすく価値や愛着を見出すことができるので、現実世界に出現した3Dデータには必然的に付加価値が生まれます。
実際の現場では3Dで精密に設計された出力物はCG原型と呼ばれ、手作業で複製のためのひな型が作成され、量産されます。
フィギュア業界では、複製前の着彩済み完成見本をデコレーションマスター、デコマスと呼び、原型を作る人を原型師、着彩する人をフィニッシャー、流通に関する業務を行う人をディーラーと呼びます。
②リアルタイム
リアルタイム表現としてユーザーレスポンスさせることで3Dデータを実際の体験に昇華させます。
横文字が多いのでもう少し日本語的に説明すると、ユーザーが実際に操作したりユーザーの行動に3Dデータが反応することで、3Dデータの動きをユーザーの実体験として現実の世界に結びつけることができるはずです。
このような即時性のあるコンテンツをインタラクティブと呼んでいます。
これらのインタラクティブコンテンツを作成するために昨今注目されているのがUnityやUE4といったゲームエンジンです。ゲーム開発のために作られたツールですが、
即時性の求められるインタラクティブコンテンツを作成するためにゲーム以外の分野からも注目されています。
③映像
映像として見せることでユーザーに疑似体験をしてもらい、思い出として記憶の一部に昇華することで現実の世界とCGデータに結びつきが生まれると考えます。
実写合成やフルCGアニメーションという分野が存在しますが、即時性の求められるゲームやインタラクティブコンテンツとの一番の違いは、裏側を作っていないこと、レイヤードに複数枚のレイヤーを重ねて後付け処理でクオリティをあげていけることにあります。
ゲーム表現とCG映像表現には一長一短があり、自分が好きだと感じる分野の知識を深めていけば良いと思います。
映像編集分野に関しては2DCGの導入編で述べているのでそちらを参考にして頂きたいと思います。
3D分野の映像としては3DCGのキャラクターアニメーションを3DCG導入編の後編の記事で取り上げたいと思います。
3DCG導入編の最後に
3D導入編に入る前に映像や画像処理など2DCGについて長々と記事を書いてしまいました。というのも、「3DCG分野には、前提として2DCG分野の知識がある程度必要」だからです。
とっても敷居が高いのが3DCGの分野。敷居は高いですが、一度その道に入ってしまえば2Dの創作では得られなかった新しい次元の視点を得ることができます。
それは例えば、立体物の構造、光の質量保存則や、物質の質感を表すための反射光の成分。2Dでモノを考えていた時には漠然と捉えていた世界の法則が手に取るように分かるようになります。
って偉そうなこと言ってますが、僕もまだまだ勉強中の身。だからこうして自分が忘れないためにもTipsブログなんて始めたわけです。
もしこのブログを読んで下さる酔狂な方がおられましたら、一緒に成長していければと思います。
→ 次回はCGの3大分野の一つ目、CG原型についてまとめていきたいと思います。